蔀戸
対話を促す、フレキシブルシャッター

結界のタイプ
コミュニケーションを生む結界
両端の世界と、結界を形作る行為
客
開放する
視線を通す
覗き見る
窺う
商人
神域
仏
対話を促す、フレキシブルシャッター
蔀戸は、板戸の一種。寝殿造りの開口部に使われた建具で、のちに神社や仏堂にも取り入れられた。京都の寺院などではよくみかけることも在るのではないだろうか。西日本では、かつては、かなり一般的に用いられていたとされる。2枚の格子の間に板を挟むか、格子の裏に板を打ったもの。上下2枚に分かれており、上半分を鴨居から吊り下げ、下半分は敷居に掛け金で留める。開けるときは上半分ははね上げて先端を金具にかけて固定し、下半分は取り外す。
この蔀戸は、戸板の開閉がシャッターのように上下方向になされる点と、全部の戸板を容易に取り除くことができ、蔀戸を設けた場所全面を開放できる点とで、引違い戸と大きく異なっている。戸板を支える柱を取り除くことができるようになった蔀戸もあり、この場合、さらに広い面積を開放することができる。
かつて商家では、家屋の道路に面した部分を店とし、商売のために開放する必要があった。並べてある商品が家の外からでも容易に見えることや、出入り口が広く人や商品の出入りが容易である等のことが、商いをするにあたって大変重要な要素であった。また通りから職人の作業自体が見えるようにという役目もあったそうだ。そのような目的に適い、かつ夏の蒸し暑さに対応できるのがこの蔀戸であったのだ。
こう考えていくと蔀戸は、単なる建物の開放部だけにとどまらない、「覗く」「覗かせる」といった関係を媒介しているものに思える。境内の中もうすら覗き込めることで、外からでもその荘厳さが感じられるし、商店であれば職人との対話ができたのである。神と人、商人と客、それぞれを結びつけるのに欠かせない、柔軟なシャッターであったのだろう。